2005年06月28日

ベンジャミン・フランクリン(1706-90)…アメリカ/独立宣言起草委員

<すべては金なり>

●貧乏出身:フランクリンの場合

貧しいくせにどんな家族計画を考えたのか知らないが、ボストンに17人も子供を作るロウソク屋の夫婦がいた。この夫婦の間に、15番目に生まれたのがベンジャミン・フランクリンだ。

若き日のフランクリンにとっては「より多くの金が手に入るかどうか」が第一の行動基準であり、それ以外の価値観は許されていなかった。蜜蜂が蜜を、アリクイがアリを求めるように、彼はとにかく金を求めて生きた。

8歳でフランクリンはラテン語学校に入学する。この学校の卒業生の多くは牧師となるが、それでは「将来ロクな暮らしができず、学費も出せないから」と、読み書き算術の学校へ移される。聖職の栄誉より実益第一、というわけだ。

が、こちらも10歳のときに辞めさせられ、父の仕事、ロウソクと石鹸の製造を手伝う。幼い彼がそうせねば、一家は暮らしていけなかったのである。

日本で言えば小学生が中学生になる12歳で、フランクリンは兄の経営する印刷所で働き始めた。17歳になると、印刷工の職を得ようとフィラデルフィアに移り、翌年にはさらに印刷技術を磨くため、イギリスにも渡っている。

そんなフランクリンも、印刷屋の職場では酒代を2、3週間ケチったため、仕事仲間から仲間外れにされ、小さな嫌がらせを繰り返されるようになった。渋々金を払った彼は、この体験により、吝嗇なばかりではダメだと悟ったそうである。

酒を飲む年までそんなことも知らずにいられたなんて、羨ましい気もする。

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●人生のポイント

ベンジャミン・フランクリンってのはジャニーズか何かのグループ名ではないか。そう疑いたくなるほどに、彼の業績はあまりに多い。

彼は独立宣言起草委員となり、アメリカ合衆国憲法の制定に参加し、アメリカ初の巡回図書館、アメリカ哲学協会、フィラデルフィア・アカデミー(ペンシルバニア大学の前身)を設立し、雷と電気の同一性を証明し、避雷針、印刷術、気球、落下傘、眼鏡、潜水艇、前開き式鉄製ストーブ、楽器、航空郵便などの発明をした。

このやたら幅広い活躍ぶりが何を目的にしたものかは一見判然としない。が、どれも貧しさから逃れ、より多くの富を手にするための手段だと考えれば、少しはわかりやすいかも。

彼の資本主義精神がよく表れているのが、1732年に発売されたベストセラー『貧しいリチャードの暦』。これは、格言・教訓つきカレンダーの第一号であり、本を買わない貧しい庶民をも啓蒙し、知識を伝える手段として彼が考え出したものだ。「時は金なり」などの富第一主義的な彼の名言は多くがここから生まれた。

セコい気分になりたいときにピッタリな、彼の格言をいくつか挙げておこう。

「怠け者の足ののろさよ、貧乏がすぐに追いつく」「早寝早起き、健康のもと。財産を殖やし、知恵を増す」「美食家の末は乞食」「うまい者、作る阿呆に食べる利口者」「金を借りに行く者は、悲しみを借りに行く」「引っ越し3度は丸焼け同然」……

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●もし貧乏出身でなかったら

牧師となり礼拝の効率を徹底追求。「日曜の朝がラクになった」と大好評の巡回教会や、小難しい討論をしながら洗礼や懺悔もできるアメリカ哲学教会を設立。さらに、教会に生命保険の代理店制度を持ち込み、「誰かが死ねば葬儀代で、生きれば保険料で」確実に稼げる教会の運営方法を編み出す。ルターに憧れて神の啓示を受けようと落雷見物をするが、雷に撃たれた拍子に思わず電気を発見。十字架タイプの避雷針を開発し普及させると、無心論者も十字架に頼るようになりローマ法王も大喜び。右の頬をぶたれたら瞬時に左の頬を差し出せる便利な電化製品を発明し、より効率的に神の教えを大衆に伝達するため、娘をアレサと名づけてゴスペル・シンガーに。
franklin.jpg
「寝たいなら墓場に入ってからでも少しも遅くはない」
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■プロフィール

「すべてのヤンキーの父」と呼ばれる典型的アメリカ人。雷のほかに地震の原因、北東風の起源、海流などの研究を行いつつ、独立宣言起草委員、アメリカ初代郵政長官、初代駐仏大使、合衆国憲法制定会議代表、ペンシルべニア奴隷制反対協会会長を務めた。資本主義精神の体現者でありながら「印刷業者フランクリン」を最期まで自称。彼の道徳律は節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲の13ヶ条で、これらを守れたかどうか毎日チェックしていた。日本では明治維新以降に近代人のモデルとして教育に利用され、昭憲皇太后が12の徳目(純潔は除く)を和歌にし、これが華族女学校の校歌もなった。

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■参考文献

ベンジャミン・フランクリン/松本慎一・西川正身訳『フランクリン自伝』岩波文庫(岩波書店、1957)


posted by 73 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(5) | 貧乏出身 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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