2005年07月12日

ルイス・キャロル(1832-98)…イギリス/童話作家、数学講師

<幼女は大好き>

●生涯独身:キャロルの場合

オックスフォード大学の数学講師であったキャロルには、結婚につながるような大人の女性との恋愛はなかった。結婚というのは彼にとって魅力的なものではなかったのである。52歳のとき、友人にこんな手紙を書いている。

「あなたは結婚して12年ですが、僕のほうは年寄りになっても相変わらず独身なのです。これからもそのままのはずです。学寮での明け暮れは女っ気がなくて惨めというものでは全然ありません。無論結婚生活にも多々いい所があるのでしょうが僕にはちょっと縁がないようですね」

ただし、未成熟な少女たちに、彼はずいぶんと熱を上げた。31歳の時点ですでに、彼の名簿には107人の少女たちの名が記されていたという。また、キャロルは少女たちの肖像画を数多く描き、撮影に没頭した。

彼のアルバムには、ごく普通の人物像のほか、さまざまな姿をした少女たち――洋服を着たノーマルなもの、仮装したもの、裸でポーズをとっているものなど――を写した膨大な数の写真が遺されている。キャロルは少女たちの肖像画も多く書き残した。

キャロルには長く友人関係を続けた女性が何人かいた。それに、当時のイギリスでは彼以外にも純粋さの象徴として、少女のヌード写真を撮る者が多かった。そんなわけでキャロルが変質狂的なロリコンだった、と断定はできない。が、仮にそうでなかったとしても、そんなふうに思われても仕方ないという気がする。

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●人生のポイント

真相は定かでないものの、キャロルが13歳の少女に求婚した、17歳の少女に恋愛感情を持っていた、といった噂は語り継がれている。

1856年からしばらくの間、彼はエレンという女性と親しくなる。この女性は、キャロルにとって生涯にわたって影響を与えた、といわれる。

が、エレンとキャロル2人の間で仮に恋愛感情といえるような気持ちが起きたとしても、たかだか3年程度の短い期間である。お互いがやや疎遠になり始めた頃、キャロルは32歳、エレンのほうはもう少しで17に手が届こうとしていた。少女から大人の女へと移り変わろうとするまさにそのとき、この関係は変わってしまったようだ。

なお、キャロルは大学講師でありながら、どもりというハンディがあり、人前で話すことが苦手だった。しかし彼は、子供を相手にした時だけ、すらすらと話せた。

『不思議の国のアリス』はもともと、キャロルが学寮長リデルの3人の娘と川遊びのピクニックに出かけ、その場で次女のアリスを主人公にして即興で語った話がもとになっている。キャロルが求婚したという説も、このリデル家の娘に対するものである。

姉妹作『鏡の国のアリス』が記された頃、キャロルはリデル家と疎遠になっていたが、これも実在する「アリス」という名の少女をモデルにした作品であることは間違いない。代表作のひとつ『スナーク狩り』もまた、別の少女に捧げたものである。キャロルに作品を生む想像力を導き出したのは、いつも少女、だったのだ。

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●もし結婚していたら

可能な限り若妻を得るが、子供ができず女児を養子にもらい、血のつながらぬその少女をアリスと名づける。毎晩キャロルはこの娘と一緒に入浴しつつ、アリスを主人公にした物語を語る。数年のうちに妻は、夫が自分と話すときどもり始めたのに気づく。相変わらず娘と長湯を続けるキャロルに不信を感じ始めた彼女、夫の引き出しから少女の裸体写真を見つけ、ショックにひとり、立ち尽くす。以来、キャロルはそれまで語ったストーリーを封印、微妙に現実感のあるアリスを主人公に話をする……「東の国のアリス」「男3人のアリス」「ヒゲのアリス」「歌い終えた後に『ありがとう』というアリス」「頭の禿げ上がってきたアリス」「やけに存在感の薄いアリス」etc.
carroll.jpg
「人生において、誰からもケチをつけられそうにないことばかりしていたら、たいしたことはできないだろう」
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■ プロフィール

本名はドジソン CharlesLutwidge Dodgson。少年時代は内気で気弱なうえ、吃音癖と左利きという、当時のヴィクトリア朝の教育が躍起に強制しようと試みた二つの欠点をもちあわせていた。オックスフォード大学クライストチャーチ学寮で学生時代をすごし、卒業とともに数学講師となる。本業のかたわら,本名のつづり字を並べかえて作った筆名ルイス・キャロルで作品を発表。彼のいつも想像の触媒に少女を必要としていた。彼の作品は後にシュルレアリストや精神分析家や言語哲学者たちを魅了する。彼の著書名から名づけられた「不思議の国のアリス症候群」は、自己の身体像や外界の事物の変形体験を主とする症候のことである。

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■ 参考文献
ネストール・ルハン/日経メディカル編『天才と病気』(日経BP社、2002)
ハドスン/高山宏訳『ルイス・キャロルの生涯』(東京図書、1985)


posted by 73 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生涯独身 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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